2024-01-01から1年間の記事一覧
「……お前らといるとろくな目に遭わねえ」「まあまあそう言うなよ東雲さん!生きてりゃこんな日もあるってえ!」「いや、割り切り方がすごすぎるでしょ」「文句を言っても結果は変わらないからな。割り切るしかないだろう」「そうですね、一人で死ぬわけじゃ…
もこもこのイヤーマフとお揃いの色をしたマフラーに顔を隠して、東雲宵一は憂いていた。 冬は嫌いだ、寒いと起き上がるのも動くのも億劫で、自主的に外に出ようとは思えない。 だが、季節の割に暖かさを感じるのは、きっと周りを取り囲む男達が原因だろう。…
「今日はパーティなの!?」 木野宮きのみは目を輝かせて食卓に並ぶ豪勢な食事に飛び付いた。 山盛りの唐揚げに始まり、ピザやローストビーフ、色とりどりのサラダにデザートまで。 外食することも多々あるが、基本的に宮山紅葉が作る晩御飯であればこうはい…
関連リンクわかんなくなった時用の一覧ですがな。 ・旧猫猫置き場 (nanoで書いていた猫猫をブログに移動させた場所) kyuneko.hatenablog.com ・猫猫事件帖リライト版 (正史もとい後付け設定に則って台詞を修正したもの、随時アップロード) ※内容は一緒 …
呆然と部屋の天井を見つめる。 一つも動いていないのに汗が滲んで嫌気がさす。夏がもうすぐそこまで来ているのだ。 クーラーをつけようと思っても、水を飲もうと思っても、体が重くていうことを聞かない。 今すぐに動かなくても死なないだろうと、そんな悠長…
「オレッ、オレほんとに何もしてなくってえええ!!」「はいはい、わかってるわかってる」「警察の人全然信じてくれなくてえええええ!!!」「そんなことないと思うけど?」「でもッでも京佑も会いに来てくれねえし!きのみちゃんは犯人はみんなそう言うっ…
「オレじゃないんだってばあああああ!!!」「むむ、犯人はみんなそう言いますぞ!!」「追い打ちかけてどうするの」「本当にオレじゃないの!!ね!ね!!オレがそんな酷いことすると思う!?」「人は見かけによりませんからな……!大抵ご近所の人にあの人…
「で、何やらかしたんだよ」「なんにもしてねえんだってええええ!!信じてくれよおおお!!!」「そ、そうだよお!浅野さんが犯罪なんてするわけないよう!!」「いや、こいつらもともと犯罪すれすれだろ。1個や2個や100個くらいかすっててもおかしくないだ…
「……暑い」 黒堂彰は照り付ける日差しを睨みながら、小さく呟いた。 公園にいるというのにノートパソコンと向き合う深海京佑は、彰に目もくれずキーボードを打ち続けている。「こーんな暑いのに子供は外で遊んできなさいなんてさー私来年には高校生だよ?」…
「警察がこんなことをしていいと思ってるのか!!やめろ!離せ!!」 金田の悲鳴が響き渡る。心の中でアタシもそう思う、と水守は相槌を打った。「だから、ちゃんと教えてくれたらやめるって言ってるだろ?」「痛い痛い痛い痛い!!折れる折れる折れる折れる…
「合コン!?水守さんがァ!?」 浅野大洋は持ち前の大声で驚きながら、思わず立ち上がってしまった。 隣に座る深海京佑は、興味なさそうにもくもくとサンドイッチを頬張っている。「そーそー、そこで捜してた男を見つけて連絡先交換して……」「で、どうだっ…
「な・ん・で、アンタがここにいるのよ」「誘われたから来たんだよ、ほらあそこのスーツの男。あれ後輩」「へー、こんな偶然あるのね?」「君こそ合コンには行かないんじゃなかったのか?俺の記憶が正しければ、興味ないって言ってたように覚えてるけど」「…
「ってわけで、壱川さんも行きません!?合コン!」 話を半分以上聞き流していたせいで、後輩がどういうわけで自分を誘っているのかもわからないまま。 壱川遵は呆れながらため息をついて、煙草の火を消した。「流行ってるのか?」「?何がですか?」 そんな…
「合コン?」「そう、行ったことないでしょ?」「そりゃないけど……」 テーブルに置かれたサラダを取り分けながら、女性は水守綾にわざとらしく首を傾げた。 その隣に座る女性は頬杖を突きながら、運ばれてきたばかりのビールを飲み干して大きな声を上げる。…
物欲がない。 と、東雲宵一に言われても、明乃にはピンと来なかった。 お菓子を作るためにたくさん材料を買っているし、たまに家電の買い替えだってお願いする。何か欲しいものがないかと聞かれても、確かにすぐには浮かばないけれど。 「う、うううううう」…
浅野大洋は、特に自慢できるものがない。 強いて言うなら趣味の料理に自信がある。この前焼いたアップルパイは最高だった。 それからまあ、体力も人よりあるかもしれない。昔から体だけは丈夫で、好きな教科は体育、嫌いな教科はそれ以外だった。 まあ、それ…
前回の冒頭に戻る。 半信半疑で連絡先を交換してから一日。とかなんとか言いながらなかったことのように連絡なんて来ないんじゃないかと疑い始めていた頃。 早速電話がかかってきたと思ったら、いきなり博物館の裏口まで来てほしいなんて言われて、急いで準…
「…………」「君、本当に何を考えてるのかわかりやすいな?」「アタシ今どんな顔してる?」「すごく怒った顔」「……でしょうね」 水守綾は呆れたような顔で呟いた。 密室の中で男と二人きり。 問題なのはその密室というのが、とある博物館のロッカーの中であるこ…
外が暗くなるたびに胸が躍るような気持ちになる。 夜はいつだって壱川遵の味方をした。黒色のマントは宵闇によく溶けて、人々は彼を見失う。それがおかしくたまらなかったと、夜を迎えるたびに思い出して口元が緩む。「ねえ、壱川くん聞いてる?」「ああ、ご…